水産資源の増殖事業
陸上で種苗生産され一定の期間を経た後、海に放流して魚類を育てる栽培漁業。
その栽培漁業と連携して幼魚から成魚にいたるまでの成長ステージに応じた保護育成礁を開発しています。
石詰式増殖礁
放流直後の幼稚魚を捕食魚から守ります。様々な形状の物があります。
様々な形状をした自然石を充填したユニットは
藻場を造成するとともに、魚類の餌料生物を豊富に供給する餌場となります。
ハニカム魚礁に取り付けることにより、礁内部の空間は魚類幼稚仔の絶好の隠れ場になります。
餌料培養ユニット
未利用のまま廃棄されている木材や貝殻を充填したユニットを魚礁に取付けて、
魚類の餌となる小型生物を高密度に蝟集させる餌料培養礁です。
間伐材(竹)の有効利用
地球温暖化対策の大きな要である森林資源保護に欠かせない間伐=間引きにより発生する
木材や竹を有効利用します。木材の隙間を生息場としたり、木材そのものをエサとする小動物が蝟集し、それらが有用魚類のエサとなります。
天然素材を活かした複雑な微小空間の創造
ホタテ・カキの貝殻など産業廃棄物処理されている水産副産物を魚礁部材に混入
または空間に充填して、魚類の有用なエサとなる小型甲殻類などが潜入し生息する
多様な微小空間を創造する事が出来ます。
海の生産力を生かした餌料培養ユニット
GFRP製のメッシュ(GM)は付着物の成長によりGM部が覆われ、
その間隙に小型生物が集まります。
このGMは海の生産力を活かした安価な餌料培養基質です。
また、光の届く水深帯ではGMに海藻が着床し、藻場礁ともなります。
GM(GFRP製メッシュ)には付着物が着生して
礁内部に陰影をもたらし、
さらに付着物の隙間などを棲家とする小生物が
魚類のエサともなります。
ナマコ増殖礁
隠れ場や餌場が豊富で、稚ナマコにとって快適な生息環境を創り出します。
陸上で生産した沈着幼生や稚ナマコを礁内部に
収容するタイプです。礁内部の石材を
GMで囲み、石材の移動や逸脱を防ぐことで、
安定した隠れ場や育成場を創出します。
窓部に取り付けた基質(GM、石材、貝殻)が
海中を浮遊するナマコ幼生をキャッチします。
また、礁内部の石材は多様な間隙を創り出し
稚ナマコの隠れ場となります。
ヤリイカ産卵礁
脚部構造のコンクリートブロックを3段重ねて接続することにより、ヤリイカの産卵場となる天井面を多く創出するヤリイカ産卵礁。
コンクリートブロック各段の天井面がヤリイカの産卵場となるため、投影面積の約2.4倍の産卵面積を確保できます。
また、各段に設けた通水孔と広い開口部によって下段の天井面まで光が差し込むため、ホヤ類の着生を抑制し、ヤリイカ産卵場としての機能を保持します。
イセエビ増殖礁
プエルルス幼生の着生場から稚エビの隠れ場・餌場、成体エビの生息場までイセエビの生活史に沿った環境を創出する増殖礁。
礁体に繁茂した海藻類が海中を浮遊するプエルルス幼生をキャッチし、稚エビパネルの凹部(水研特許取得)が成長段階に応じた稚エビの隠れ場となります。また、各段の隙間や隙間に設けた空洞ブロックが暗所を好むイセエビの良好な生活空間となります。
サンゴ保護礁
サンゴの保護と生息範囲拡大に寄与するため、快適な生育環境を整えます。
重厚なコンクリート製のため
厳しい環境下でも保護礁として活躍します。
着床基質に嵩上げした格子状基盤を用いることで、
光量を確保し、シルト類の堆積を低減します。
保護礁内に移植した稚サンゴは、
生存率・成長率ともに高まることが立証されています。
調査写真
GMに着生したクロメ |
GMへの付着器の固定状況 |
GMへ多量の付着物が着生 |
魚礁内部 メバル蝟集 |
台座裏面に付着したヤリイカ卵嚢[上段] |
台座裏面に付着したヤリイカ卵嚢[下段] |
天端面に繁茂するホンダワラ類 |
稚エビパネルの凹部に隠れる稚エビ |
礁内に設置したインターバルカメラで観察された抱卵個体 |
礁内に設置したインターバルカメラで観察された2個体のイセエビ |
調査報告:令和3年8月~令和4年9月調査 |
設置場所である小浜島の石西礁湖 |
厳しい波浪の絶海の孤島、 沖ノ鳥島にも設置 |
上面フェンスの取り外し |
礁内部へ入った様子 |
食害に遭わないサイズまで 成長したサンゴ |
サンゴ増殖礁から広がったサンゴが 多くの水生生物のゆりかごと なることを期待しています。 |